形が欲しくて
2003年12月8日白く淀みない
真冬の白壁に
真夏の影が落ちる
真夏に落ちた
人の影の輪郭は
髪の先まで精緻
それまで
じっと物書きに耽る姿でさえ
捉えられなかった
生きているという振動が
それを許さなくて
この世界で
命を持つものの輪郭は
余りに曖昧
形が欲しいのなら
ただ命を絶てば良かった
潰えた命だけが
明確な輪郭を残して
ねえ
きみが
そんなにも恐れた
世間体
とやらを気にする大人は
きみの
大事なひと だったのかな
曖昧でいいよ
曖昧でよかった
ヨクワカラナイきみで
構わなかったのに
白く淀みない
真冬の白壁に
いまはなき真夏の影が落ちる
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